絞ると深度が深くなる理由

図を見ると一目瞭然だと思います。
2009-09-05_171902.jpg
※上図は観念図です。
厳密に言えば開放状態や F22に絞った状態でもピントが合っているのは1点だけです。
人間の目の分解能を超える微々たるボケはピントが合っているように見えるのです。
これを被写界深度といいます。
被写界深度はキャビネサイズにプリントした写真を手に持って鑑賞(25cm程度)した時に
ぼけて見えないという事を前提にしています。
 ※普通の目の分解能を持った人が鑑賞
ですから、目の良い人の被写界深度はもっと浅くなる事になりますね~
焦点距離に対する被写界深度の計算はこちらの URLでどうぞ。
http://shinddns.dip.jp/depth.php
被写体までの距離を様々に変えてみると F値に対する被写界深度が表示されます。

一眼レフのAF

【一眼レフの光路図】
一眼レフの光路図.jpg

一眼レフはコンデジやライブビューでのAFとは違い、位相差AFを採用しています。
マウント内にあるミラーで上方へ反射してファインダーへ導いているのですが、ミラーはハーフミラーになっており、分光された光がAFモジュールへ導かれ、専用のセンサーで測距されます。
ミラーが精度良く定位置にないとフォーカス操作は全滅です。
フォーカシングスクリーンの位置がずれていると MFで合わす事が出来なくなります。
AFモジュールの位置がずれていると AFが合わなくなります。
受光面がずれていると AF、MFどちらで合わせてもピンぼけです。
この様に一眼レフはもの凄い精度で作られており、マウント内部を触るのはリスクが大きいという事がお分かり頂けると思います。

【位相差AFの原理図】
位相差AFの原理図.jpg

位相差AFは三角測量の応用です。
分光された光を2個のレンズで別々の光束に分けると各々の結像位置がわかります。
各々のCCD出力のピーク位置を判定する事で前ピンか後ピンかが判定でき、レンズの移動方向を決めます。
またどれぐらい差が有るかを判定して、レンズの移動量を決めて一気に動かします。
AFの電気的な調整はこの移動量等を調整値で修正する事になります。
図中のCCDはラインセンサーです。
クロスセンサーだとこの図のセンサーが縦横に配置されています。
K-mを除いて AFポイントはクロス 9点、ライン 2点ですから、合計 20個のセンサーが配置されている事になります。凄いですね~
【AFに使用する光束の観念図】
AFに使用する光束の観念図.jpg

ペンタックスの機種は F5.6対応センサーを採用しています。
図の青いのが F5.6の光束とセンサーになります。
公式にはF5.6以下のレンズで AF可能とされていますが、F8ぐらいまでAF出来るという事はもう少し内側に配置して余裕をとっているのでしょう。
あるいはギリギリ F5.6のセンサーに掛かってAF出来ているのかもしれません。
F11のレンズだと光束がF5.6のセンサーから完全に外れるためAF不可になります。
他社の中・高級機には F2.8対応センサーを装備している機種があります。
位相差AFは三角測量の応用なので、計測位置が離れているほど精度が高くなります。
そのため F2.8対応センサーの方が精度が良いのです。
しかしデメリットもあり、ボケの量(デフォーカス量)が大きくなるため合焦点付近以外のセンサーの出力ピークがぼやけてしまうため、AFを外すと復帰に時間が掛かります。
また F2.8より暗いレンズだと光束がセンサーを外れるので測距出来なくなります。

Exif Copy Tool

写真を加工してExifの無くなってしまった写真へExifを追加するソフトです。
元写真と加工後のファイルを読み込んで保存ボタンを押すとExifがコピーされます。
ExifCopy Ver1.00
ファイルは複数受け付けますが、Exifのあるファイル、無いファイルとも
それぞれ最後に読み込んだ画像が表示されます。
※Exifがあるファイルのみ読み込んだ場合、左側にしか表示されません。
2009-08-27_151459.jpg
2009-08-27_151522.jpg
お約束ですが、ファイルの破損等があっても保証いたしません。

レンズの明るさ2

C’mellに恋してさんのご協力を得て追試したデータをエクセルへまとめました。
評価は追って行いますが、とりあえずDL出来るようにしました。
TValue.xls
※Tv, Av値取得のため VBAを使っていますので警告がでます。

レンズの明るさ

レンズには開放F値があります。
レンズの明るさを示す値として捉えられている方が大多数だと思いますが、そうではありません。
F値というのは 焦点距離÷レンズの有効口径 の単純な値なのです。
どれだけ光が取り込めるかというレンズ性能の指標ではないのです。
レンズは設計により構成が違い、6群7枚とか 14群16枚、中には 15群21枚というレンズもあります。
レンズ(ガラス)は光を 100%透過する事が出来ないため、1枚透過する毎に光量が落ちていきます。
(表面で反射するためです。この表面反射を出来るだけ少なくするためにコーディングをするのです)
1枚あたり数%のロスになるのですが、枚数が多くなると無視できなくなります。
そこで簡単に実験です。
PCの液晶モニターへメモ帳を画面いっぱいに開き、画面の中央付近へレンズをギリギリまで近づけて撮影します。
各レンズとも丸形のフードを装着し、外光の影響をうけないように注意しました。
厳密にするのであれば光源と前玉までの距離も統一すべきですが、数センチの誤差ですので無視しました。
測定は ISO100 F2.8 に統一して、SSの変化を見ます。
露出倍数が掛からないようフォーカスは無限遠にします。
またレンズ毎に絞り機構のばらつきがありますので、SILKYPIXの自動露出 “オート(SILKYPIX評価測光)” で輝度を揃えました。
F値、SS、SILKYPIXの露出調整値を加味してレンズの明るさを調査します。
結果は図の通りです。
TValueCheck.jpg
同じF2.8でもシャッター速度に2倍の差がでています。
レンズの構成に応じて EV値が変化していますね。
もっと厳密に結果を求めるのであれば下記の実SSでEV値を求めなければならないのですが、
1/3段ステップだと最大 1/6段の誤差ですので、傾向としては十分信用できる結果だと思います。
各々のレンズ構成と実SSは

 FA135 7群8枚  F2.8 1/132
 272E  9群10枚  F2.8 1/132
 FA77  6群7枚  F2.8 1/144
 FA43  6群7枚  F2.8 1/121
 FA31  7群9枚  F2.8 1/111
 A09  14群16枚 F2.8 1/72

です。
F2.8通しのズームレンズでもレンズの構成枚数が少なくできる単焦点レンズに比べると1段遅いSSでしか切れません。
単焦点レンズと比較した場合、実質F4通しと考えてもよさそうです。
[参考]
A031を加えて再検証した値
2009-08-03_161339_cr.jpg
[追試の結果]
2009-08-08_174002.jpg